この記事の要点
- ステップメールとは、登録した日を起点に、あらかじめ用意した複数のメールを、決まった順番と決まった間隔で自動的に配信する仕組みです。
- 追いかけているように感じるのは、通数が多いからではありません。1通に答えを詰め込みすぎて、読む人の側に考える余地が残っていないからです。
- 通数と間隔は最後に決めます。先に決めるのは、出口、入口の状態、1通1問の3つです。この順番で決めると、通数は自然に出ます。
ステップメールの作り方を調べると、何通にするか、何日おきに送るかという話にすぐ行き当たります。でも手が止まる本当の理由は、たいていそこではありません。追いかける側になりたくない、という気持ちのほうです。私は企業や講師の方の裏方として、販売の導線をつくる仕事をしています。この記事では、通数を決める前に決めておくことを、順番つきでお渡しします。
ステップメールとは何ですか
ステップメールとは、登録した日を起点に、あらかじめ用意した複数のメールを、決まった順番と決まった間隔で自動的に配信する仕組みです。
ふつうのメールマガジンは、全員に同じ日に同じ内容が届きます。ステップメールは違います。届く内容が、その人が登録してから何日目かで決まります。
この違いは、書くときの相手を変えます。メールマガジンで向き合うのは「今日の読者全員」です。ステップメールで向き合うのは「登録3日目のひとり」です。全員に向けて書くのをやめて、ひとりに向けて書けるようになる。それがこの仕組みのいちばんの利点です。
なぜステップメールは「追いかけている」ように感じるのですか
先に、自分の側を書きます。
私がこの仕事を学び始めたきっかけは、自分が受け取る側だったことです。トレーナーとして独立していたころ、パーソナルトレーナー向けの養成塾を案内するセールスレターを読みました。そのあと届いた案内をきっかけに、書き手の方のもとで学び始めました。
そのとき、追いかけられた記憶はありません。届くたびに、自分の頭のなかが動いていた記憶のほうが残っています。……この違いが、ずっと気になっていました。
追いかけている感じは、通数から生まれるのではありません。1通あたりの余地の少なさから生まれます。
1通に結論と手順をすべて書き切ると、読む人にできることは2つだけになります。受け取るか、閉じるか。どちらを選んでも、次の1通が届くまでのあいだ、その人の頭のなかでは何も起きません。何も起きていない人に次を届けるのですから、こちらは押すしかなくなります。押すから、追いかけているように見えます。
ステップメールの作り方は、何から決めればいいですか
決める順番は4つあります。通数は4番目です。

- 出口を決める。最後の1通を読み終えたとき、その人に何をしていてほしいかを一文で書きます。申し込む、返信する、日程を選ぶ、あるいは「今は何もしない、と決める」でもかまいません。何もしないと決めてもらうのも、りっぱな出口です。
- 入口の状態を書く。どこから登録した人か。何に困って登録したのか。ここを商品名も業界用語も使わずに一文で書きます。お客様の「状態」を一文で書く方法は別の記事にまとめています。
- 1通1問を割り当てる。入口の状態から出口まで、その人が通ることになる問いを並べます。そして1通につき1つだけ置きます。
- 通数と間隔を決める。通数は、並べた問いの数です。間隔は、その問いを考えるのにかかる時間で決めます。
ここを飛ばすと、あとが全部ぶれます。
ステップメールは何通くらいがちょうどいいですか
通数は先に決めません。問いが3つしか出ないなら、3通で完成です。10通の枠を先に作ってから中身を探すと、埋めるための話が混ざります。混ざった話は、読む人には「引き延ばし」に見えます。
少なく始めて、あとから足すほうが続きます。途中で息切れした10通より、最後まで通る3通のほうが、読む人にとっては親切です。
ステップメールの配信の間隔はどう決めますか
カレンダーではなく、問いの重さで決めます。
事実を確かめるだけの問いなら、翌日で足ります。「先週いちばん多く聞かれた質問は何でしたか」なら、思い出すだけで答えが出ます。一方、自分の商売の値段や、やめることを決める問いなら、2日か3日は空けます。考える時間を、こちらの都合で奪わないためです。
「1通1問」とは何ですか
1通1問とは、ステップメールの1通ごとに、答えではなく、読む人が自分に問える問いを1つだけ置く書き方です。

やり方は3つです。
- 1通の最後を、問いで終える。まとめの一文ではなく、その人が自分に向けて答える一文で閉じます。
- その人の手元の材料で答えられる問いにする。「あなたの課題は何ですか」では答えられません。「先週いちばん多く聞かれた質問は何でしたか」なら答えられます。
- 次の1通は、その問いの続きから始める。前の問いを受けずに新しい話を始めると、その問いは宿題ではなく飾りになります。
私はメールマガジンを毎号、答えを提示するのではなく、問いを手渡すことを軸に書いています。届いた返信や感想には、いまも自分で目を通しています。返ってくるのは、たいてい問いへの答えではありません。その人自身の状況です。それで十分です。状況が返ってくるということは、その人の側で何かが動いたということですから。
ステップメールの例文は、そのまま使ってもいいですか
使ってかまいません。ただし、空欄が埋まるならば、です。
例文が役に立つのは、順番と分量の見当がつくところまでです。空欄に入るのは、あなたの商売の中身です。そこは誰の例文にも書いてありません。
埋まらない空欄が残ったら、それは文章力の問題ではありません。まだ決まっていないことがある、という合図です。多くの場合、決まっていないのは出口です。最後の1通で何をしていてほしいかが決まっていないと、途中の1通も決まりません。
型は使います。ただ、型に使われると、その人が消えます。例文に自分を合わせにいくと、決めるべきことが先送りになったまま、それらしい文章だけが出来上がります。
なぜ煽らない作り方を勧めるのですか
締切と残り数の演出を足せば、短期の数字は動きます。それは事実です。けれど動いた分だけ、読む人の判断がこちらに預けられます。預かった判断は、あとで返ってきます。返品や解約や、静かな離脱という形で返ってきます。
私は、煽りや誇大な表現に頼らないやり方を選んできました。理由は、マーケティングを売る技術ではなく、売り手と買い手の見え方を揃える作業だと考えているからです。見え方が揃えば、断る人は早く断れます。それは損ではありません。
そして、誰かのために踏ん張っている人が、届け方を知らなかったというだけの理由で届かないのは、もったいないと思っています。開封率のような数字も、平均と比べるより自分の平均線と比べたほうがいいのは、同じ理由です。誠実にやっている人が、比較のしかたのせいで自信を失わないためです。
保存版・ステップメールを作る前の確認リスト
- 最後の1通を読み終えたとき、その人に何をしていてほしいかを一文で書けている
- 「今は何もしないと決める」も、出口として認めている
- 入口の状態を、商品名も業界用語も使わずに一文で書けている
- その人が出口までに通る問いを、順番に並べてある
- 1通につき問いが1つだけになっている
- その問いは、読む人が手元の材料で答えられる
- 1通の最後が、まとめではなく問いで終わっている
- 次の1通が、前の問いの続きから始まっている
- 通数は、問いの数から出している(先に決めていない)
- 間隔は、その問いを考えるのにかかる時間から決めている
- 締切や残り数の演出を、事実の裏づけなしに書いていない
- 途中で降りたい人が降りられる案内が、どの通にもある
ステップメールは、送る回数を増やすための道具ではありません。ひとりに向けて書ける状態を、時間をかけて作るための道具です。作り方の中心にあるのは、通数でも間隔でもなく、1通1問です。
私が書いているメールマガジンも、同じ考え方で作っています。問いをひとつ手渡すこと、事例はできるだけ具体で書くこと。裏方の現場で実際に効いたことを、順番つきでお届けしています。
最後にひとつ、持ち帰っていただければと思います。
あなたのステップメールは、読んだ人が何かを受け取って終わる設計でしょうか。それとも、読んだ人が自分に何かを問える設計でしょうか。
よくある質問
ステップメールの作り方は、何から始めればいいですか
出口から始めます。最後の1通を読み終えたとき、その人に何をしていてほしいかを一文で書いてください。次に、入口で登録した人がどんな状態かを一文で書きます。この2つが決まると、あいだに置く問いが並びます。通数と間隔は、そのあとで自然に決まります。
ステップメールとは何ですか。メールマガジンとの違いは何ですか
ステップメールとは、登録した日を起点に、あらかじめ用意した複数のメールを、決まった順番と決まった間隔で自動的に配信する仕組みです。メールマガジンは全員に同じ日に同じ内容が届きますが、ステップメールは登録から何日目かで届く内容が決まります。そのため、全員ではなく、ひとりに向けて書くことができます。
ステップメールの例文をそのまま使ってもいいですか
使ってかまいません。ただし、例文の空欄が自分の言葉で埋まることが条件です。例文が教えてくれるのは順番と分量までで、中身は書いてありません。埋まらない空欄が残る場合は、文章の問題ではなく、出口や提供内容がまだ決まっていない合図だと考えてください。
