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自社の強みの見つけ方。得意なことより「決め手の言葉」を集める

自社の強みの見つけ方。得意なことより決め手の言葉を集める

この記事の要点

  • 自社の強みとは、自分たちが得意なことではなく、お客様がほかの選択肢と比べたうえで、それでもこちらを選んだ理由のことです。
  • 自社の強みが自分で見つけにくいのは、当たり前になっているから、同業とだけ比べているから、得意なことと選ばれた理由を混ぜているから、の3つが重なるためです。
  • 自社の強みの見つけ方は、書き出すことではなく聞くことです。お客様が選んだ理由を、お客様の言い方のまま書き留めた一文を「決め手の言葉」と呼びます。

自社の強みの見つけ方を調べると、得意なことを書き出すワークにたどり着くことが多いと思います。書き出してはみたものの──どこの会社にも当てはまりそうな言葉が並んで、手が止まる。そういう方は、少なくないと思うんです。

私は企業や講師の方の裏方として、思想や理念を言葉にして、選ばれる事業や仕組みに変えるお手伝いをしています。この記事では、強みを「考える」のではなく「集める」やり方を、手順つきでお渡ししますね。

なお、ここで扱うのは事業としての自社の強みです。就職や転職の自己分析で使う強みの話ではありません。

自社の強みとは何ですか

自社の強みとは、自分たちが得意なことではなく、お客様がほかの選択肢と比べたうえで、それでもこちらを選んだ理由のことです。

得意なことと、選ばれた理由。この2つは、重なることもありますが、同じではないんです。

もちろん、得意なことを磨く意味が無いわけではありません。そこは承知しています。ただ、強みとして外に出すときに効くのは──こちらが胸を張れることより、お客様が実際に決め手にしたことのほうなんですよね。

なぜ自社の強みは、自分では見つけにくいのですか

先に、自分の側を書きます。

私は社会人になって3日で、最初に勤めたジムを辞めています。物事を覚えることに困難があったこと。そして、効果があるとは思えないサプリを販売する方針に、どうしても疑問を持ったことが理由でした。

いま私は、煽りや誇大な表現に頼らないマーケティングを選んでいます。あのとき疑問を持った方針と、ちょうど反対側にあるやり方です。自分の軸というのは、得意なことを並べた紙の上より、手放せなかったことのほうに出るのかもしれません。

裏方の仕事をしていると、発注する側の懐事情もずっと見てきましたし、自分が発注するときにも同じところを見ます。そのうえで言えるのは、強みが見つからない理由はたいてい次の3つが重なっている、ということです。

  1. 当たり前になっている。毎日やっていることほど、自分では特別に見えません。お客様が驚いたことを、こちらは「普通のこと」として通り過ぎてしまうんです。
  2. 同業とだけ比べている。お客様が比べているのは、同業だけではありません。「自分でやる」「何もしない」も、比べる相手に入っています。この点はお客様が比べている見えない3つの競合に書きました。
  3. 得意なことと、選ばれた理由を混ぜている。「経験が豊富」は得意なことです。お客様が決めた理由は、もっと小さくて具体的なことが多いんですよね。

……これ、本当に多いです。

自社の強みの見つけ方は、何から始めればいいですか

書き出す前に、聞くことから始めます。強みの答えは、こちらの頭の中ではなく、選んでくれたお客様の側にあるからです。

決め手の言葉を集める3つの手順。1.最近選んでくれた方を3人思い浮かべる、2.ほかに何と比べましたかと聞く、3.返ってきた言葉を言い換えずに書く
考えて書くのではなく、聞いて集めます。3番目の「言い換えない」がいちばん難しい手順です。
  1. 最近選んでくれた方を、3人思い浮かべる。長いお付き合いの方より、決めた日の記憶がまだ新しい方から聞くほうが、理由がはっきり返ってきます。
  2. 「ほかに何と比べましたか」と聞く。いきなり「決め手は何でしたか」と聞くと、整った答えが返りやすいんです。先に比べた相手を聞くと、差がどこにあったのかが自然に出てきます。
  3. 返ってきた言葉を、言い換えずに書く。「返事が早かった」を「迅速な対応」に直した瞬間、どこの会社にも書いてある強みに戻ってしまいます。

ここを整えたくなる気持ち、よく分かります。でも、整えないでください。

お客様に直接聞けないときは、どうすればいいですか

問い合わせの文面や、申込フォームの自由記述を読み返すところからで大丈夫です。そこには、お客様が自分で選んだ言葉が、すでに書いてあるんですよね。

見るのは褒め言葉ではなく、「◯◯だったので」「◯◯が分かったので」という理由の部分です。

「決め手の言葉」とは何ですか

決め手の言葉とは、お客様がほかの選択肢ではなくこちらを選んだ理由を、お客様自身の言い方のまま書き留めた一文です。

自分で書いた強みと決め手の言葉の比較例。丁寧な対応と質問した日のうちに返事が来た、豊富な経験と料金が最初から書いてあった、お客様第一と断っても嫌な顔をされなかった
説明のための例です。左はどの会社にも書けますが、右はその会社でしか起きなかったことです。

左の「丁寧な対応」は、嘘ではありません。ただ、同じ言葉を書いている会社がいくつもあるので、読む人の中で差になりにくいんです。

右の「質問した日のうちに返事が来た」は、場面が見えます。そして、読んだ人が自分で確かめられる。だから信じてもらいやすいんですよね。

自社の強みの例文は、どう書けばいいですか

決め手の言葉を、そのまま主語つきで置きます。形は「◯◯で迷っていた方が、◯◯を理由に選んでくださっています」くらいで足ります。

形容詞を足すより、場面を1つ足すほうが伝わります。「とても早い返信」ではなく、「質問した日のうちに」です。

強みを整理するフレームワークは、使わないほうがいいですか

使って大丈夫です。強みと弱み、機会と脅威を並べる表のような型は、考えの抜けを見つけるのに役立ちます。

ただ──型の欄を埋めることが目的になると、欄に入るのは「どこでも書ける言葉」になりがちなんです。型は使う。でも、型に使われない。欄の中身には、決め手の言葉を入れてください。

なぜ得意なことより「選ばれた理由」を勧めるのですか

強みを大きく書けば、ページは立派に見えます。それは事実です。立派に見せたほうが目を引く場面があることも、否定するつもりはありません。

ただ、大きく書いた強みは、お客様が確かめようがありません。確かめられない言葉は、読む人の判断を助けないんですよね。

私は、マーケティングを売る技術ではなく、売り手と買い手の見え方を揃える作業だと考えています。決め手の言葉は、すでに選んだお客様が見ていた景色です。それをそのまま渡せば、これから選ぶ方も同じ景色で判断できる。合わない方も、早めに「うちではない」と分かります。それは損ではないと思っています。

そして、誠実に積み上げてきた人ほど、自分の良さを当たり前だと思っていて、言葉にしないまま比べられてしまう。誰かのために踏ん張ってきたことが、書き方ひとつで伝わらないのは、もったいないと思うんです。

強みを見つけたあとに、それを誰に向けるかを考えるときは、市場調査で見落としがちな3つの死角もあわせて読んでみてください。

保存版・自社の強みを見つけるときの確認リスト

  1. 得意なことと、選ばれた理由を分けて考えている
  2. 最近選んでくれた方を、3人思い浮かべた
  3. 「ほかに何と比べましたか」を先に聞いた
  4. 比べた相手に、同業以外(自分でやる・何もしない)が入っていないか確かめた
  5. 返ってきた言葉を、言い換えずに書き留めた
  6. 問い合わせ文や申込フォームの自由記述を読み返した
  7. 褒め言葉ではなく、理由の部分を拾った
  8. 強みの一文に、場面が1つ入っている
  9. 読んだ人が、自分で確かめられる言葉になっている
  10. 他社の名前に置き換えても通じる言葉が残っていないか確かめた

自社の強みは、考えて作るものではありません。選んでくれたお客様が、すでに言葉にしてくれているものです。こちらの仕事は、それを整えずに受け取ることなんだと思います。

私が書いているメールマガジンでも、こうした「選ばれる理由」をどう言葉にするかを、実例つきでお届けしています。答えを配るのではなく、その日に自分へ問える一文をひとつ手渡すつもりで書いています。いただいた質問や感想には私が目を通していますので、よろしければ下のご案内からどうぞ。

最後にひとつ、持ち帰っていただければと思います。

あなたの会社を最後に選んでくれたお客様は、ほかに何と比べて──それでも、なぜこちらに決めてくれたのでしょうか。

よくある質問

自社の強みの見つけ方は、何から始めればいいですか

得意なことを書き出す前に、最近選んでくれたお客様に聞くことから始めます。最初に「ほかに何と比べましたか」と聞き、そのあとで決め手を聞きます。返ってきた言葉は言い換えずに書き留めてください。この一文を「決め手の言葉」と呼んでいます。直接聞けない場合は、問い合わせ文や申込フォームの自由記述を読み返すところからで十分です。

自社の強みとは何ですか。得意なこととは違うのですか

自社の強みとは、お客様がほかの選択肢と比べたうえで、それでもこちらを選んだ理由のことです。得意なことと重なる場合もありますが、同じではありません。得意なことは作り手の側から見た言葉で、強みはお客様の側から見た言葉です。外に出すときに効くのは、お客様が実際に決め手にしたことのほうです。

自社の強みの例文は、どう書けばいいですか

お客様が選んだ理由を、お客様の言い方のまま、場面を1つ入れて書きます。「丁寧な対応」ではなく「質問した日のうちに返事が来た」のように、読んだ人が自分で確かめられる形にします。形容詞を足すより場面を足すほうが伝わります。こうして書き留めた一文を「決め手の言葉」と呼んでいます。

S.O
Written by
及川志伸

マーケティングプロデューサー/セールスコピーライター。2015年開業。「想いが、売上になり社会を動かす。」を旗印に、セールスレター・LP制作からファネル設計・運用まで一貫して手がける。

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