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提案書を1枚にまとめる書き方。読む人と、決める人は違う

提案書を1枚にまとめる書き方。読む人と、決める人は違う(及川志伸 オフィシャルWEBサイトのアイキャッチ画像)

この記事の要点

  • 提案書とは、こちらが引き受ける範囲と条件(金額・期間・進め方)を、相手が判断できる形にまとめた書類です。
  • 提案書を1枚にまとめる書き方の要点は、情報を削ることではありません。その場にいない人が読んでも意味が通る形へ置き換えることです。読む人と、決める人は、たいてい同じ人ではないからです。
  • 1枚に載せるのは4項目です。相手が困っていること、やること・やらないこと、金額と期間と始められる日、次に決めてもらうこと1つ。

提案書の書き方を調べると、テンプレートや構成要素の一覧はすぐに見つかります。1枚にまとめたい、という気持ちも共通しています。ただ、何を残すかを考える前に、決めておくことが1つあります。その1枚を、誰が読むのかです。

私は企業や講師の方の裏方として、販売の導線をつくる仕事をしています。この記事では、1枚に載せる4項目と、載せないほうがいい3つを書きます。

提案書とは何ですか

提案書とは、こちらが引き受ける範囲と条件(金額・期間・進め方)を、相手が判断できる形にまとめた書類です。

企画書と混同されやすいのですが、向きが違います。企画書は「こうしてはどうでしょうか」と案を出すもので、提案書は「では、この条件でお引き受けします」と決めてもらうためのものです。案の面白さで読ませるのではなく、判断に必要なものが揃っているかで決まります。

だから提案書の良し悪しは、ページ数では測れません。

なぜ、提案書は長くなるのですか

先に、自分の話を書きます。私は裏方なので、発注する側の懐事情をずっと見てきましたし、自分が発注するときにも、まず同じところを見ます。いくらで、いつまでで、どこまでやってもらえるのか。それを探してページをめくることになると、その時点で判断が後ろへずれます。

提案書が長くなるのは、書き手が不親切だからではありません。目の前の相手に伝えたいことが多いからです。ただ、ここに見落としやすい事実が1つあります。

提案書を読む人と、決める人は、たいてい同じ人ではありません。

打ち合わせに来ている担当者の方は、その場では決められないことがほとんどです。持ち帰って、上司や役員に、あるいは家族に説明します。そのとき、こちらは同席していません。

……これ、本当によくあります。

つまり提案書は、読ませる資料ではなく、相手が自分の言葉で説明するための材料です。この記事では、そう考えて用意する1枚を「持ち帰りの1枚」と呼びます。持ち帰りの1枚とは、提案書のうち、その場で読むためではなく、相手が持ち帰って誰かに説明するために使う1枚のことです。

提案書が持ち帰られたあとに相手の社内で起きることを、ページ数の多い提案書と持ち帰りの1枚で比べた図。ページ数が多いと持ち帰った先の人は最初から読まず金額と期間を探すのに時間がかかり「ご検討ください」で終わって次が決まらないのに対し、持ち帰りの1枚はその場にいなかった人が読んで意味が通り、4項目が同じ順番で並び、金額・期間・開始日が空欄でなく、次に決めることが1つだけ日付つきで書いてある、という対比を4組で示している
1枚にまとめるのは、削る作業ではなく、置き換える作業です。

提案書を1枚にまとめる書き方(載せる4項目)

持ち帰りの1枚に載せるのは、次の4項目です。順番も、このとおりに置きます。

持ち帰りの1枚に載せる4項目を上から順に示した図。項目①相手が困っていること(相手が実際に使った言葉のまま書く)、項目②やること・やらないこと(引き受ける範囲)、項目③金額・期間・始められる日(税込か税別か、着手から納品までの月数、開始できる日付)、項目④次に決めてもらうこと(1つだけに絞り期限の日付を添える)の4段構成
4項目とも、持ち帰った先で必ず聞かれるものです。

項目①:相手が困っていること

1行目は、こちらの提案ではなく相手の状況から始めます。しかも、こちらが要約した言葉ではなく、打ち合わせで相手が実際に使った言葉をそのまま書きます。

「新規顧客の獲得が課題」ではなく、「問い合わせは来るが、見積もりを出したところで止まる」。前者はどの会社にも当てはまりますが、後者は自分たちの話だと分かります。持ち帰った先の人が最初に確かめるのは、この人はうちの状況を分かっているか、です。

相手の言葉をどこから拾うかはお客様の声の集め方で書きました。

項目②:やること/やらないこと

次に、引き受ける範囲を書きます。ここで大事なのは、やることと同じ場所にやらないことも書くことです。

やらないことが書かれていない提案書は、読む側からは「どこまでやってくれるのか分からないもの」に見えます。分からないものは、社内で説明できません。範囲を狭く見せたくなくて曖昧にすると、かえって決まらなくなります。

項目③:金額・期間・始められる日

金額は、税込か税別かまで書きます。期間は「約3か月」ではなく、着手から納品までの月数と、その内訳を1行で。そして、いつから始められるかを日付で入れます。

この3つは、社内で必ず聞かれます。ここが空欄のまま持ち帰ると、担当者の方は答えられず、確認のやりとりが1往復増えます。ここを飛ばすと、たいてい止まります。

項目④:次に決めてもらうこと(1つだけ・期限つき)

最後に、相手が次にすることを1行で書きます。「ご検討ください」は、次にすることが書かれていない文です。

たとえば「9月18日までに、着手を今月にするか来月にするかをお決めください」。決める対象を1つに絞り、日付を添えます。決めることが3つ並ぶと、いちばん重いものに引きずられて、全部が止まります。返事が来ない状態をどう読むかは「検討します」は断り文句かで書きました。

1枚に載せないほうがいいものは何ですか

  1. 会社紹介・沿革・実績一覧──信用のための材料であって、判断のための材料ではありません。別紙にして、聞かれたときに出します
  2. 3つ以上の選択肢──選べるようにしたつもりが、選ぶ作業を相手に渡すことになります。1案に絞り、なぜその案にしたかを1行添えます
  3. 専門用語と、自分の業界だけの呼び名──持ち帰った先の人は、その言葉を知りません。読み上げられない言葉は、そこで止まります

削る基準は1つです。その場にいなかった人が読んで、意味が通るか。通らないものは、1枚の外へ出します。

なぜ、この話を書いているのですか

私は、煽りや誇大な表現に頼らないやり方を選んできました。

そういうやり方を選んだ人ほど、提案書が長くなります。強い言葉で押さないぶん、誠実に説明しようとして情報が増えるからです。ところが増えたぶん、相手は社内で説明しにくくなります。いちばん丁寧に書いた人の提案が、いちばん決まらない。そういうことが起こります。

これは、話がうまい人が勝つという話ではありません。相手が席を立ったあとに何が起きるかまで想像したかどうかの差です。そして、それは技術というより、相手の側に立つ姿勢のことだと思っています。誰かのために踏ん張っている人が、書き足りなかったのではなく書きすぎたせいで選ばれないのは、もったいないことです。

もっとも、1枚をどれだけ整えても、決まるのは紙の外です。私は、お誘いをいただいたらなるべく直接会いに行くことを、自分の条件にしています。1枚は、その場に来られなかった人のために用意するものです。

保存版:提案書を1枚にまとめるときの確認リスト(持ち帰りの1枚)

  • 1行目が、相手が実際に使った言葉になっている
  • やることと並べて、やらないことも書いてある
  • 金額に、税込か税別かが書いてある
  • 期間が「約◯か月」ではなく、着手から納品までの月数で書いてある
  • いつから始められるかが、日付で入っている
  • 次に決めてもらうことが1つだけ、期限の日付つきで書いてある
  • 会社紹介・実績一覧は別紙に分けてある
  • 選択肢は1案に絞ってある(迷った案は口頭で足せる状態にしておく)
  • 専門用語と社内の呼び名を、知らない人の言葉に置き換えた
  • その場にいなかった人に読んでもらい、質問が出ないか確かめた

提案の組み立て方や、実際の仕事で使っている判断の順番は、お送りしているメールのなかで具体的な例つきでお届けしています。続きを読んでみたいと思われたら、下のご案内からどうぞ。

最後にひとつ、持ち帰っていただければと思います。

あなたのいちばん新しい提案書は、打ち合わせにいなかった人が読んで、意味が通るでしょうか。そして、その人が次に何をすればいいかは、どこに書いてあるでしょうか。

よくある質問

提案書の書き方で、1枚にまとめるコツはありますか

文字を小さくして詰め込むのではなく、載せるものを4項目に決めてしまうのがコツです。相手が困っていること(相手の言葉のまま)、やること・やらないこと、金額と期間と始められる日、次に決めてもらうこと1つ。この4つだけを、この順番で置きます。判断に使われない会社紹介や実績一覧は別紙へ移すと、1枚に収まります。

提案書の構成要素には、何を入れればいいですか

最低限の構成要素は4つです。①相手の課題(相手が使った言葉で書く)②提供範囲(やること・やらないこと)③条件(金額・期間・開始日)④次の意思決定(決めてもらうこと1つと期限)。表紙・会社概要・実績・体制図なども入れて構いませんが、それらは1枚目ではなく別紙に置きます。1枚目は、その場にいなかった人が読んで意味が通ることを優先してください。

提案書は、社内向けと社外向けで書き方が違いますか

載せる4項目は同じです。違うのは重心で、社内向けは決裁の順路がはっきりしているぶん、項目④(次に決めてもらうこと)を誰が・いつまでに決めるのかまで具体的に書きます。社外向けは、相手の社内の事情がこちらから見えないため、項目①(相手が使った言葉)と項目②(やらないこと)を厚めにします。どちらも、その場にいない人が読む前提で書く点は変わりません。

S.O
Written by
及川志伸

マーケティングプロデューサー/セールスコピーライター。2015年開業。「想いが、売上になり社会を動かす。」を旗印に、セールスレター・LP制作からファネル設計・運用まで一貫して手がける。

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