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士業の集客。紹介が止まったときに残る「紹介の言葉」

士業の集客。紹介が止まったときに残るもの。紹介してくれた人が使っていた一文を取り戻す

この記事の要点

  • 士業の集客とは、専門資格でお仕事をされている方が、紹介や既存の顧問先以外から相談を受ける経路をつくることです。
  • 紹介で回っていた仕事が細くなると急に難しく感じるのは、腕が落ちたからではなく、紹介してくれた人が代わりに言ってくれていた「選ばれる理由」も一緒に消えるからです。
  • 自分で集めるときは、資格名と業務の一覧を書き直す前に、紹介してくれた人が使っていた説明の一文を集め直します。これを「紹介の言葉」と呼んでいます。

士業の集客の方法を調べると、ホームページ、交流会、紹介、広告、交流サイトと、一覧が出てきます。ただ、方法が分からなくて止まっているわけではない、という方も多いんじゃないでしょうか。

これまでは紹介で回っていた。それが少しずつ細くなってきた。けれど、自分から集めるとなると、何をどう言えばいいのか分からない──。

私は企業や講師の方の裏方として、思想や理念を言葉にして、選ばれる事業や仕組みに変えるお手伝いをしています。この記事では、士業の集客を「方法を増やす話」ではなく「紹介のときに使われていた言葉を取り戻す話」としてお渡ししますね。

なお、ここで書くことは資格の種類を問いません。一人か少人数で、専門の知識をお仕事にされている方にも、そのまま当てはまると思っています。

士業の集客とは何ですか

士業の集客とは、税理士や行政書士などの専門資格でお仕事をされている方が、紹介や既存の顧問先以外から相談を受ける経路をつくることです。

ここで大事なのは、「経路をつくる」であって「知名度を上げる」ではない、というところなんです。名前を広く知られていなくても、必要な方から順に相談が届けばいい。むしろ、専門のお仕事はそちらのほうが合っていると思っています。

そして、経路をつくる作業でいちばん時間がかかるのは、手段を選ぶところではありません。「あなたに頼む理由」を、あなた自身の言葉で言えるようにするところです。紹介が回っているあいだは、ここを他の人がやってくれていました。

紹介で回っていたのに、自分で集めようとすると止まるのはなぜですか

先に、自分の側から書きます。

私はもともとトレーナーとして独立して、コロナをきっかけに裏方の仕事へ移りました。移ったばかりのころは、深夜のマクドナルドで朝まで作業を続けていた時期があります。

気合と根性でやるしかない、誰にも迷惑はかけない。そう思っていました。

……集客が苦手だったのではなくて、集客に回す余白が無かったんです。

目の前の仕事に手一杯のとき、人は「自分をどう説明するか」を考える時間をいちばん先に手放します。怠けているのではありません。順番として、いちばん後ろに置かれてしまうだけなんですよね。

そのうえで、紹介から自力に切り替えるときに止まる理由は、次の3つに分けて考えられます。

  1. 選ばれる理由を、紹介者が代わりに言ってくれていた。「あの先生は、こういう場面に強いから」。この一文が、紹介の場では毎回どこかで言われています。紹介が減るということは、その一文を言ってくれる人がいなくなるということでもあるんです。
  2. 自分で言おうとすると、資格名と業務の一覧に戻ってしまう。相続、許認可、労務、顧問。どれも間違っていないのに、読んだ人が「自分の場面だ」と気づける形になっていません。
  3. いちばん忙しい時期に、いちばん考える時間が要る。紹介が細くなったと気づくのは、たいてい手が空いてからです。そのときには、材料になる会話の記憶も薄れています。

つまり、足りないのは方法の知識ではないんです。紹介の場で使われていた言葉が、手元に残っていない。ここが本当の入口だと思っています。

「紹介の言葉」とは何ですか

紹介の言葉とは、あなたを誰かに紹介してくれた人が、その場であなたを説明するのに使っていた一文のことです。

「税務に詳しい先生」ではなく、「決算の直前に駆け込んでも、嫌な顔をせずに話を聞いてくれる先生」。この差が、紹介の言葉です。前者は資格の説明で、後者は場面の説明なんですよね。

紹介が成立していたということは、この一文が実際に効いていたということでもあります。であれば、ゼロから考えるより、すでに効いた言葉を回収するほうが早いはずなんです。

自己紹介の書き方の比較例。1組目は、資格と業務で書いた例が、税理士。法人顧問、相続、記帳代行に対応します。紹介の言葉で書いた例が、決算の直前に駆け込んでも、まず話を最後まで聞いてくれる。2組目は、資格と業務で書いた例が、丁寧で迅速な対応を心がけています。紹介の言葉で書いた例が、数字が苦手な人に、順番から説明してくれる。
説明のための例です。×は資格と業務で書いた自己紹介、○は紹介の言葉で書いた自己紹介です。

×の書き方が悪いわけではありません。必要な情報ですし、どこかには要ります。つい、資格名から書きたくなるんですけどね。

ただ、読んだ人が立ち止まるのは○のほうです。そこに書かれているのが、その人自身が困っている場面だからなんです。

紹介の言葉は、どうやって集めればいいですか

集め方は3つです。どれも、新しく何かを作る作業ではありません。すでに交わされた会話を拾い直す作業です。

  1. 紹介してくれた方に、何と言って紹介したかを聞く。「先日はありがとうございました。差し支えなければ、私のことをどんなふうにお伝えくださったか教えていただけますか」。お礼の連絡のついでに聞ける質問です。
  2. 初回の相談で出た第一声を、そのまま書き留める。「こんなことを聞いていいのか分からないんですが」「もう手遅れかもしれないんですけど」。この言い方こそが、同じ状況の方に届く言葉になります。
  3. 「ほかに、どなたに相談しようと思われましたか」を聞く。別の事務所の名前が出るとは限りません。「自分で調べようと思った」「知人に聞こうと思った」も立派な答えで、比べられていた相手が分かります。
紹介の言葉を集める3つの手順。手順1、紹介してくれた方に何と言って紹介したかを聞く。手順2、初回相談で出た第一声をそのまま書き留める。手順3、ほかにどなたへ相談しようと思ったかを聞く。
3つとも、新しく作るのではなく、すでに交わされた会話を拾い直す手順です。

3つに共通しているのは、相手の言い方をこちらで整えないということです。言い直した瞬間に、その人らしさが抜けて、どこかで見た説明文に戻ってしまいます。

お客様の側の言葉をどう拾うかは、お客様の声の集め方自社の強みの見つけ方でも書きました。今回は話し手が違います。お客様ご本人ではなく、あなたを誰かに説明してくれた方の言葉を集めるところが、この記事の中心です。

集めた言葉は、どこに置けばいいですか

置き場所は、相手が「頼むかどうか」を考えている場所です。具体的には、ホームページのプロフィール、相談の案内ページ、問い合わせフォームの前の一文、この3か所から始めます。

逆に、あとまわしでよいのは、事務所案内の沿革や、資格の取得年です。大事な情報ではあるのですが、頼むかどうかを決める場面では、まだ読まれていないことが多いんです。

紹介を増やすほうが早いのではないですか

もちろん、紹介が増えるならそのほうが早いです。関係のあるところから仕事が生まれるのは自然なことですし、私自身も、そうやって育った仕事をいくつも見てきました。

そこは否定しません。ただ──

紹介を増やしたいときにも、結局は同じ言葉が要ります。紹介してくださる方が、あなたを説明しやすくなる一文があるかどうか。それが無いと、紹介したい気持ちがあっても、その場で言葉が出てこないんですよね。

ですから、紹介と自力の集客は別々の作戦ではありません。同じ一文を、どちらに置くかの違いだと思っています。人が集まらないときの考え方はセミナーに人が集まらないときにも書きましたので、あわせてどうぞ。

なぜ、方法を増やす前に言葉を集めるのですか

集客の相談をいただくと、どの媒体をやるべきか、という話から始まることが多いです。けれど媒体は入れ物で、入れるものが決まっていないと、どこに置いても同じ文章が並ぶだけになります。

私は、マーケティングは売り込む技術ではなく、売る側と買う側で、世界の見え方を揃える行為だと思っています。専門家にとっての「相続の相談」は業務名ですが、相談する方にとっては「兄と話したくないまま期限が近づいている状況」です。この距離を埋める作業が、言葉を集めるということなんです。

そして、この作業をしていただきたい理由は、売上のためだけではありません。目の前の方のために踏ん張ってきた方ほど、自分の説明があとまわしになって、選ばれる場面に出てこられないことがあります。誠実にやってきた人が、それゆえに気づかれないままになるのは、もったいないと思うんですよね。

保存版・紹介の言葉を集めるときの確認リスト

  1. 直近で紹介してくださった方に、何と言って紹介したかを聞いた
  2. 聞いた一文を、こちらで言い直さずに書き留めた
  3. 初回相談での第一声を、語尾まで含めて残した
  4. 「ほかにどなたへ相談しようと思ったか」を聞いた
  5. 出てきた答えのうち、資格名ではなく場面を指している言葉に印をつけた
  6. その言葉を、プロフィールの最初の3行に入れた
  7. 相談の案内ページに、同じ言葉をそのまま使った
  8. 問い合わせフォームの直前に、ためらう気持ちへの一文を置いた
  9. 沿革や取得年を、判断に使う情報より前に置いていない
  10. 紹介してくださる方が、あなたを一文で説明できる状態になっている

士業の集客は、方法を全部やることでは前に進みません。紹介の場で実際に効いていた一文を手元に戻して、それを必要な方の目に入るところへ置く。順番としては、ここが先だと思っています。

私が書いているメールマガジンでも、こうした言葉の拾い方と置き方を、実例つきでお届けしています。いただくご感想や質問にも目を通していて、答えを配るというより、その日に自分へ問える一文をひとつ手渡すつもりで書いています。よろしければ、下のご案内からどうぞ。

最後にひとつ、持ち帰っていただければと思います。

あなたを誰かに紹介してくださった方は、あのとき、あなたのことを何と説明してくださっていたでしょうか。

よくある質問

士業の集客方法には、どんなものがありますか

士業の集客方法には、紹介、ホームページ、検索からの流入、交流会や勉強会、専門誌や地域の媒体、交流サイトなどがあります。ただ、どれを選ぶ場合でも先に要るのは「あなたに頼む理由を一文で言えること」です。紹介してくださった方が使っていた説明の一文を集め直し、その言葉を各方法に置いていくのが順番としておすすめです。

士業の集客は、何から始めればいいですか

まずは、直近で紹介してくださった方に「私のことをどうお伝えくださったか」を聞くところから始めます。次に、初回相談での第一声を言い直さずに書き留め、「ほかにどなたへ相談しようと思ったか」を聞きます。この3つで集まった言葉を、プロフィール、相談の案内ページ、問い合わせフォームの直前の3か所に置きます。

紹介が減ってきたのは、実力不足だからでしょうか

実力の問題とは限りません。紹介では、あなたが選ばれる理由を紹介者が代わりに言ってくれているため、紹介が細くなると同じ実力でも急に伝わりにくくなります。腕を上げ直すより、紹介の場で使われていた言葉を取り戻すほうが、多くの場合は近道です。

S.O
Written by
及川志伸

マーケティングプロデューサー/セールスコピーライター。2015年開業。「想いが、売上になり社会を動かす。」を旗印に、セールスレター・LP制作からファネル設計・運用まで一貫して手がける。

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